NHKテレビ番組『逆転人生』(2020年6月8日)の感想 20200609

 「新しい生活様式」という言葉の「新しい」という言い方が、いまひとつ胡散臭いと感じるのは私だけではないだろう。夏場のマスクも感染予防にはなっても、熱中症となる危険も含んでいる。マスクはどうしても表情がわからないし、初対面ではほとんどその人の顔もわからない。「新しい」と言っても、良いことがある新しさとはとても思えない。
カウンセリングにおいてもzoomやスカイプなどを用いて遠隔での実施が普及するだろう。だが、アイコンタクトがもう少しリアルに画面上でも成り立つようになればと思う。いわゆる用件を伝えるということ以上のものを求めるコミュニケーションでは、遠隔カウンセリングではどうしても抜け落ちるものがあると思われる。
 ところで、先日NHKテレビ番組『逆転人生』(2020年6月8日)に、プロゲーマーのチクリン選手という人が出演していた。彼はテレビゲームのプロプレーヤーである。ゲーム『鉄拳』で世界チャンピオンになるまでが紹介されていた。
 一度はプロを断念し、就職もしたが、周囲には彼に期待する先輩や友人、そして両親がいた。期待に応えるかのように、もう一度、プロの道に復帰した。
 そんな彼に立ちはだかったのはパキスタンのプレイヤーArslan Ash選手であった。更に、「パキスタンには自分より強いやつがごろごろいる」というArslan Ash選手の言葉を確かめるべくパキスタンへ遠征した。
 そこで彼が気づいたことが興味深い。日本では『鉄拳』の練習はインターネットで誰かとの対戦となる。バーチャルな世界でゲームを行うのが常である。だが、パキスタンでは違う。日本のひと昔前のようにゲームセンターで互いに顔を合わせて対戦する。プレーヤーはお互いに交流し、ゲームについて直に語り合ったりする。チクリン選手はこれがパキスタンの選手が成長する要因だと気づいた。顔を見合わせ、ゲームについて互いに交流を深める。それはバーチャルな世界ににはない切磋琢磨なのだ。
 ゲームセンターという実戦場は日本では少ない。お互いに気づいたことを語り合い、向上する場が存在しない。そこに大きな差が生まれるという。帰国したチクリン選手は、日本の選手に呼びかけてとうとう合宿を敢行した。その結果、更に大きくテクニック向上をなしとげたという。その後、チクリン選手はパキスタンの選手をも破りチャンピオンとなった。
 遠隔カウンセリングでなせるコミュニケーションの利点と欠点をうまく生かしながら、現実という土俵を忘れないでカウンセリングを進めること。それが大切だとしみじみと思わされた。